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コンテンツマーケティングの「落とし穴」

コンバージョンポイントばかりを重視していないか──。国内化粧品市場は堅調に拡大し、それに伴い競争も激化している。数ある商品の中から、自社の商品を選択してもらうために必要な「視点」とは。また、コンバージョンポイントばかり重視することで失うものとは。今回は、実施の際の注意点と、購買に寄与するソリューションについて紹介する。


国内化粧品市場が堅調に拡大

富士経済の調査※1によると、国内化粧品市場は2015年以降、前年比3.0%を超える拡大を続けている。2018年は前年比4.0%増の2兆7,858億円となる見込みで、今後も市場は堅調に拡大する予想だ。
その中でもシェアの高い中価格帯商品では、インバウンド需要と共に、“しわ改善”の効果効能が認められた医薬部外品、敏感肌ブランドの機能性強化による敏感肌層以外の需要の取り込みが好調で、市場拡大に大きく寄与したと言われている。

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主にマスプロモーションによって“しわ改善”のような新しい市場が創られた後には、各メーカーから一斉に商品投入が行われる。その中で販売数を伸ばすためには、見込顧客に対して自社商品の差別化ポイントを伝達し、「選択」してもらうことが必要となる。

何を当たり前のことを…と思うかもしれないが、ここには大きな「落とし穴」があるのをご存知だろうか。
突然だが、ここで1つ質問をさせて欲しい。


あなたの会社では、CVRやCPA/CPOといった指標を高めるため、店頭やECの購入ページなど、コンバージョンポイントのUX改善を最重要視していますか?


「もちろんだ!」と答えた方は、もしかするとこの落とし穴に落ちかけているかもしれない。


自社の商品を「選択」してもらう方法

2010年にGoogleが提唱した「ZMOT(Zero Moment of Truth)※2」。店頭に足を運ぶ前の情報収集段階に、実質的な購買意思決定の瞬間があるという概念だ。

美容・健康商品の購入者は、購入前に平均7件もの情報源に接触しているとも言われている。先ほどの富士経済の調査リリースでもあった通り、高機能化した化粧品の魅力は一言で伝えづらくなっており、その接触件数と時間はより多く、長くなることが予想される。

こういった情報過多、情報収集チャネルのフラグメンテーション(断片化)に伴い、来訪や購入などに至るキッカケが至る所に散在するようになった。売上に直結するからと直接的なコンバージョンポイントばかり重視していては、広告費がかさむこと以上に「見込顧客を大きく取り逃してしまう」可能性があることに注意しなければならない。

その理由を、化粧水購入を検討している人の購買行動を例にとって見てみよう。

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乾燥肌に悩むAさんは、化粧水を買い替える際に下記のような行動を取ったとする。

(1) 検索エンジンで「乾燥肌 化粧水 選び方」と検索。
(2) 上記表示の記事でセラミドやアミノ酸が配合されている商品が良いと知る。
(3) 化粧品クチコミサイトで「乾燥肌」に絞り込み、クチコミランキングを検索。
上位3商品のクチコミ内容、(2)で調べたポイント、料金等を確認する。
(4) (3)で調べた商品に関して書いてある個人ブログで、使用感をより深く調べる。
そして最終的にドラックストアに行き、(4)の中で気になった商品を購入する。
もちろんこれはあくまで一例で、自分が好きなモデルが使用している化粧水をInstagramで知り、商品サイトやクチコミなどを調べた後に購入するなど、これ以外のケースも多々存在する。
しかし一番重要なポイントは、「購入の手前で商品選定がある程度完了している」ということだ。コンバージョンポイントのみを重視すると、見込み顧客を取り逃してしまう可能性があるとお伝えしたのはこのためだ。
こうした生活者の環境変化に伴い、一連の購買プロセスに合わせて、購入前のタイミングから最適なコンテンツを提供し、見込み顧客をナーチャリング(育成)していく「コンテンツマーケティング」を行うことは、売上最大化のために必要不可欠なのである。


「コンテンツマーケティング」は万能薬ではない

生活者の環境変化だけではなく、コンテンツマーケティングを薦める理由がもう一つある。
下の図は、FCBグリッド※3というフレームワークだ。「顧客の関与度」と「商品のタイプ」の2軸で分類をし、4つの象限ごとに最適なコミュニケーション戦略の方向性を示している。

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お菓子のような低価格ですぐに手に入る(d)の商品群は、商品選択結果のリスクが少ないため、マス広告等でのブランディングや店頭の棚取りやPOP等での販促施策が効果的で、事前のコンテンツ提供によるナーチャリングはあまり重要ではない。

一方、化粧品などが含まれる(a)の商品群は、商品選択に失敗すると金銭的・身体的リスクが伴い、購買プロセスも長く複雑なことから、最もコンテンツマーケティングに適している商品セグメントと言える。

「コンテンツマーケティング」は、どんな商品のマーケティング課題も解決できる「万能薬」などではない。しかし少なからず、今日の化粧品には非常に適した考え方だと言える。


「コンテンツマーケティング」を行う上での課題

「コンテンツマーケティングなら、すでに取り組んでいる」という方も多いだろう。

コンテンツマーケティング自体は特に新しいものではなく、関連サービスも多数リリースされている。そんな企業が直面する主な課題は「企画・制作ナレッジと運用リソースの不足」ではないだろうか。

Appmartがコンテンツマーケティング従事者に行った調査※4では、24.8%の企業がコンテンツ制作・分析改善・運用をすべて自社内で完結させていた一方で、67.9%の企業が業務の一部、もしくはすべてをアウトソースしていることがわかった。

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内部ですべて完結するにしても外部にアウトソースするにしても、コンテンツマーケティングには、見込み顧客をナーチャリングしていくための「中長期的な戦略設計」と、「継続的な運用体制」が必要となる。「効果」の定義をどこに置くかにもよるが、すぐに「効果」が出るケースは珍しく、同社の調査でも効果実感するタイミングは「6ヶ月経過時点」が26.9%と最も多い結果となった。

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ナーチャリングのステップを無視して、単純に制作会社にコンテンツ制作や運用のみを委託したところで期待した効果は見込めない。また、コンテンツマーケティングの概念を誤って捉えているサービス事業者が少なからず存在している。SEOのために低品質な記事を量産するようなサービスは最たる例だ。こういったものはコンテンツなどではなく、生活者にとっても想いを持って商品開発をしているメーカーにとっても、単なる「害」でしかない。

自社内はもちろんのことアウトソースする際も、正しい概念を理解した上でPDCAを繰り返せる会社を選定することが成功への近道となる。


購買プロセスごとに必要なコンテンツとは?

ご存知の方も多いと思うが、コンテンツマーケティングは、ターゲット顧客のペルソナを起点に、カスタマージャーニーやコンテンツマップなどを整理して進めていくものだが、生活者の化粧品購買プロセスとプロセス毎に必要なコンテンツの方向性に関しては、そこまで大きく変わるものではないと考えている。

「カスタマージャーニーやコンテンツマップは細かければ細かいほど良いのでは?」と考える方もいるかとは思うが、経験上あまりお勧めしない。

その理由としては、効果検証のためのテスト項目が細かく、そして多くなり、要因の関係性をひも解く難易度が格段に上がってしまう。超エース級のデータサイエンティストなどがいれば別だが、なかなかそういった人材に恵まれるのは稀有だろう。

また、本来であればPDCAを高速で繰り返し、売上最大化に向けた取り組みをすべきところを、テスト設計や分析にあまりに時間やコストがかかってしまうのは本末転倒だ。

まずは、シンプルなフレームワークでPDCAを回してみることをお勧めする。


リッチメディアが提唱する「ARSCAF-Model」

リッチメディアでは、この購買プロセスを「ブランド認知」「自分ゴト化」「納得感・共感」「商品選択」「体験・共有」「FAN化」という大きく6つのステップに分けた「ARSCAF-Model(アースカフモデル)」というフレームワークで整理している。

このフレームワークに対して、購買プロセスに必要となる代表的なコンテンツをシンプルにまとめたものが下記の図だ。再三お伝えしているように、この中でも「検討プロセス」の教育コンテンツが購買行動には最も寄与すると考えている。

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どの段階で得た情報が購入に寄与したかというGoogleの調査※2では、「ZMOT(検討時)」と答えた人が84%と最も高い結果になっており、前述のFCBグリッドでも、化粧品も含まれる(a)の商品群に最適なコミュニケーション戦略は、“Learn-Feel-Do“と一番初めに教育コンテンツの必要性が表現されている。

下記はリッチメディアが独自に行った、とある高機能性商品の特徴理解と商品購入の関係性に関する調査結果だ。

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商品認知をした上で、商品概要理解者の購買経験率は約50%、商品特徴理解者の購買経験率は約70%まで高まっていることから、検討プロセスで有益な「教育コンテンツ」を用意し、自社商品が見込み顧客にとって必要であると納得できる状態を作ることが商品選択につなげるための最も重要なアクションだと言える。

これらの背景からリッチメディアが今取り組んでいるのが、医師や専門家を起用した「エデュケーショナルムービー」だ。


リッチメディアが動画コンテンツに注目した理由

「動画元年って毎年言われていたけど、やっと流行ってきたよね。」

よく聞く話だ。

しかし、リッチメディアが検討プロセスの表現に「動画」を選んだのはただの流行りだからではなく(そんな会社とは付き合わないほうが良い)、大きく2つの理由があるからだ。1つ目は「生活者への浸透度」、2つ目は「購買行動への寄与度」だ。

まず「生活者への浸透度」について、総務省が行っている主要ソーシャルメディアの利用率推移調査※5におけるYouTubeの世代別利用率の推移を見ていただきたい。

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全年代で利用率は年々増加しており、2017年度は72.2%、特に10~20代は90%を超えていることが見て取れる。60代は32.2%と低く見えるが、ネット利用率自体が73.9%※6ということを考えると、約2人に1人が利用していることになる。ここでは代表的動画配信プラットフォームであるYouTubeの利用率を記載したが、実感値としても、「動画」というコンテンツ形式が生活の中に浸透したことに異を唱える人は少ないだろう。

2つ目に動画の「購買行動への寄与度」についてだ。

1分の動画は英語180万語に相当する価値があるという調査結果※7もある通り、動画は時間当たりに表現できる情報の量が画像等に比べ圧倒的に多い。

ONE MEDIAを創業された明石ガクト氏も「動画2.0 VISUAL STORYTELLING」という著書の中で、動画を「情報の凝縮がある映像コンテンツ」と定義しており、そもそもそういった特徴を持ったものを動画と呼ぶべきなのだろう。

可処分時間が少ない生活者に対して、昨今の高度な商品特徴を伝達し理解させるためには、この圧倒的表現力が必要不可欠だ。

DACが実施した動画広告のアイトラッキング調査※8の結果では、動画広告(プレロール広告)は、通常の一般的なサイトのトップ面のバナー広告と比べ14.2倍の注視時間があり、注視回数も12.4倍となっていた。ここからも動画形式の高い伝達力が見て取れる。

実際の「購買行動への寄与度」に関しては、ニールセンが行った動画広告視聴による態度変容経験の調査※9において、「購入した」ことがある人が17%という結果がでている。

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これはもちろんどのようなターゲットにどのような動画広告を閲覧させたのかにもよるため一概には言えないが、海外でも多数の購買寄与に関する調査結果が公表されており、表現力の部分も加味して、動画コンテンツが今最も商品特徴を伝えやすい形式だと信じている。


リッチメディアの「動画コンテンツ」とは?

リッチメディアがリリースした「動画コンテンツ」は、クライアント様の商材の特徴を生活者にわかりやすく表現し、セグメントが柔軟に行えるSNS ADを中心に配信することで、「自分ゴト化」「納得・共感」してもらい、優良見込み顧客数を増加させることで、最終的なアクションを高めることを目的とした広告商品です。

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認知プロセスでの動画ソリューションは現在でも多数存在しているが、最も注力すべき自分ゴト化や納得・共感のプロセスに特化した動画ソリューションはほとんど存在していない中、「動画コンテンツ」を活用することでZMOTを意識し、マーケティング課題の解決につなげることが可能となります。


作って終わりという思想から抜け出さない限り、コンテンツあたりのROIはなかなか見合いません。

実施前にしっかりとした計測指標と仮説を用意し、結果を基にリバイスを続けることで、最終的に価値のあるコンテンツが創造でき、コンテンツマーケティングの価値を実感することができるはずです。


本商品に関するお問い合わせは下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。 また、貴社で新規見込み顧客の獲得や潜在層の発見、現状運用しているコンテンツマーケティングの課題解決など、お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

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参考文献

※1 富士経済, "化粧品マーケティング要覧 2018 総括編", https://www.fuji-keizai.co.jp/market/18088.html (参照2018-12-27)
※2 Google, "Winning the Zero Moment of Truth", https://www.thinkwithgoogle.com/marketing-resources/micro-moments/2011-winning-zmot-ebook/ (参照2018-12-27)
※3 Richard Vaughan, "How Advertising Works: A Planning Model Revisited" (訳:リッチメディア)
※4 Appmart, "2017年コンテンツマーケティングの実態調査", https://appmart.co.jp/whitepaper/contentsmarketing2017/ (参照2018-12-27)
※5 総務省, "平成29年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書", http://www.soumu.go.jp/main_content/000564529.pdf (参照2018-12-27)
※6 総務省, "通信利用動向調査", http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/180525_1.pdf (参照2018-12-27)
※7 idearocket, “A Video is Worth 1.8 Million Words”, https://idearocketanimation.com/4293-video-worth-1-million-words/ (参照2018-12-27)
※8 ExchangeWire JAPAN, "WireColumn: 動画広告の注視時間は、一般的サイトのバナー広告の約14倍:動画サイトのアドフォーマットの可能性", https://www.exchangewire.jp/2013/10/23/wirecolumn-saito-2/ (参照2018-12-27)
※9 ニールセン デジタル, ”Nielsen Video Contents & Ads Report 2018”, https://www.nielsen.com/jp/ja/insights/newswire-j/press-release-chart/nielsen-digital-20180403-video-contents-and-ads-report.html (参照2018-12-27)


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